ミノキシジルの育毛効果
ミノキシジルの育毛効果で、毛根の細胞が元気になると、AGAで短くなった成長期が長くなります。成長期が長くなると、太くて長い髪に育つので、髪が濃くなったように見えます。同時に、毛周期全体の期間も長くなるので、生え替わりの抜け毛の数も減ります。
ミノキシジルは血管を拡張する作用があり、高血圧の方の血圧を下げる降圧剤として、もともと発売されました。その後、副作用で毛が濃くなることがわかり、育毛剤としても使われるようになりました。
最近は優れた降圧剤が他にたくさん開発されたので、内服時のこわい副作用が問題となるミノキシジル錠を、高血圧の治療用に内服薬として使うことはありません。
いまではミノキシジルは、薄毛を治療する塗り薬として、もっぱら使われています。
男性型脱毛症でミノキシジル溶液を使うと髪が濃くなるのは、血管拡張作用により頭皮の血流が良くなるからではなくて、実は、髪を作る毛包の毛乳頭細胞や毛母細胞を元気にする結果だと説明されています。
循環器内科では、近年、たくさんの種類の血管拡張薬が開発されましたが、これらの薬を使っても、髪は濃くなりません。つまり、頭皮の血流を増やすだけでは、髪は濃くならないのです。このことからも、ミノキシジルで髪が濃くなるのは、血管拡張作用による結果ではないことがわかります。
AGAで短くなった成長期が少し長くなると、髪が少し太く成長できるので、髪が濃くなったように見えます。これがミノキシジル溶液の育毛効果です。
女性型脱毛症でも、ほぼ同じような仕組みで、ミノキシジルの効果がでます。女性がミノキシジル溶液を使うと、抜け毛が減って、髪やうぶ毛が濃くなります。
ミノキシジル溶液への反応の個人差
ところで、ミノキシジル溶液を頭皮に塗っても、どなたも同じように髪が濃くなるわけではありません。ミノキシジルの効果と反応の程度には、個人差があります。
ミノキシジルがよく効く体質の方では、成長期が長くなるので抜け毛が減って、数ケ月~半年後ころから、髪がゆっくり濃くなり始めます。このように薬の反応が良い方をresponderといいます。抜け毛が減れば、残っている髪が多くなるので、結果的に髪が増えたことになります。ミノキシジルを使い続ければ、やがて太い髪が徐々に増えて、髪が濃くなります。
それに対して、ミノキシジルが効きにくい体質の方では、抜け毛の数は変わらず、髪の濃もほとんど変わりません。このような薬の反応が弱い方をnon-responderといいます。
このresponderとnon-responderの差は、もともとの個人の体質の差です。毛根にある特殊な酵素の働きに、遺伝的な個人差があるのです。このメカニズムは、ミノキシジルの項目で、すでに詳しくご説明しました。
ここまでは、ミノキシジルで抜け毛が減るか、減らない、という効果の違いのお話です。多くの方々は、このどちらかのタイプです。