女性へのフィナステリド使用
アンドロゲンとDHTが、女性型脱毛症でも、関与しているので、II型5α-還元酵素阻害薬が、女性型脱毛症の治療にも有効である可能性があると、著者は考えています。
しかし、臨床試験では、フィナステリドは、女性型脱毛症に対して、有意な有効性を示せませんでした。
それでも、女性が、男の胎児を妊娠している可能性がなければ、慢性の休止期脱毛を伴わない女性型脱毛症、および高アンドロゲン血症のある閉経前の女性に対して、フィナステリドが有効である可能性が、まだ残っていると言えます。
DHTを抑制する効果に関して、I型とII型の両方の5α-還元酵素を阻害する薬も、女性のAGA(FAGA)の治療に、有効である可能性があります。
著者の経験によれば、閉経前および閉経後のどちらの時期においても、女性型脱毛症に罹患している女性のうちの何人かで、髪の濃さを増加させるのに、フィナステリドは有効でした(未発表の個人データ)。
もしも、フィナステリドが、女性の薄毛の治療にも有効だろうか、と誰かが尋ねたとしたら、著者の答えは、イエスです。
女性が妊娠しないと約束できるならば、フィナステリドは、女性のAGAの治療に使ってみる価値のある薬だと、著者は考えています。
男性型脱毛症の基礎的研究 (第1部)
性ホルモンと脱毛症;要旨
男性ホルモンが原因の脱毛症(AGA)は、男性と女性の薄毛の、主な原因の1つです。
本章では、AGAに関する基礎的科学と、遺伝子解析の最新情報について解説しました。
AGAのメカニズムを理解すれば、男性と女性の男性型脱毛症(AGA)の、治療と予防の可能性に関して、重要な情報が得られます。
男性型脱毛症の基礎的研究 (第1部)
参考文献
エリーゼA.・オルセン:髪の成長の障害。診断と治療、第2版。マグロウヒル、メディカル出版、ニューヨーク。2003年。
ジェリー・シャピロ:脱毛症の診断と治療の原則。第1版。マーチン・ドゥニツ、ロンドン。2002年。
著作権について
当サイトに存在する、文章・図やグラフ・画像等の著作権は、著者に帰属します。著作物の情報を、著者の許可なく、無断転載することを禁止します。引用の範囲を超えるものについては、法的処置を行います。転載する際には、ご連絡をお願いします。