内服する薄毛治療薬です。米国皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインや国際毛髪外科学会の指針では、ミノキシジルと共に強く推奨されており、アメリカ食品医薬品局(FDA)も、内服して薄毛を改善する薬として唯一有効性を認めています。 元々は前立腺肥大症の治療薬で、副作用として毛が濃くなることから、育毛剤として使用されるようになりました。 男性ホルモンのテストステロンが男性型脱毛症の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)へ転換するのを阻害する作用があり、その結果、薄毛の症状が改善されます。毎日1ミリグラム内服すると、半年から1年後には育毛効果が現れます。6~7割の方に効果があると言われています。 アメリカでの臨床試験では、軽度及び中程度の、頭頂部及び前頭部の男性型脱毛症の方の半数が、3~5カ月服用を続けたところで効果が認められたという結果が出ています。 そして、2年間服用を続けたところ、83パーセントの方は薄毛の進行が止まり、その内の67パーセントは毛が濃くなったと報告されています。 たしかに、太い髪が若干増えますが、全部の髪が正常の太さに戻るわけではありません。フィナステリドの薬効は、アジア人の場合、毛の直径を平均で約10パーセント太くする程度です。 日本人の毛髪の太さは平均80~85マイクロメートル(1マイクロメートルは0.001ミリ)で、薄毛の方は30マイクロメートルより細くなっているため、たとえ平均10パーセント太くなったとしても元の髪の太さに戻るわけではありません。 また、効果は年齢や薄毛の部位によって異なります。年配者より20~40代の若い方のほうが効果も現れやすく、薄毛が始まって間もない方のほうがよく効くとされています。 特に、うぶ毛にまで進行してしまった薄毛の場合はあまり効果がないと言われています。部位では頭頂部には比較的よく効きますが、生え際や額の両側の後退にはあまり育毛効果が期待できないようです。 男性ホルモンを抑制する薬のため、性欲減退、インポテンツ、胃部不快感、腹痛、肝機能障害などの副作用が報告されています。と言っても副作用が発生する頻度は低く、万一副作用が出た場合も、服用をやめれば元に戻ります。 しかし、男性ホルモンに直接作用するという薬の性格上、女性や子どもへの使用は禁止されています。特に妊娠中の女性が服用し、胎児が男の子だった場合は性器が奇形になる恐れがあるため、妊婦や、妊娠の可能性がある女性は厳禁です。 また、前立腺がんの血液マーカーであるPSA測定結果が、低めの値になるので注意が必要です。 ミノキシジル同様、服用を止めると数カ月から半年で効果が消失します。薬の効果によって薄毛の進行を止めたい、現状をキープしたいと思うのなら、一生飲み続ける必要があります。 しかし、医師の診断と処方箋がないと購入できないため、ドラッグストアなどで気軽に手に入れることはできません。